心理学講座111 人の先天的な行動
ミツバチの帰巣本能を知っていらっしゃると思います。
巣から遠く離れても巣に帰ってくる行動をいいます。
こういった行動は本能的な行動と呼ばれることが多いです。
ミツバチが生まれながらにして持っている行動パターンです。
人が生まれながらに持っている行動は少ないです。
将来的に複雑な行動をするため、生まれながらに持っている行動は抑えられているのではないかと思います。
生まれながらに持っている行動は成長とともに失われていきます。
その行動が残っているといろいろと困るからではないでしょうか?
人が生まれながらにして持っている行動は反射と呼ばれる行動です。
意識しなくても行動が現れます。
これらの行動がもし出てこなければ、何かトラブルを抱えていることになります。
新生児のチェックに利用されています。
代表的な反射行動には次のようなものがあります。
◎吸着(吸綴:きゅうてつ)反射
唇の周りに触れたものを吸い付こうとする行動です。
◎モロー反射
強い光や音、振動などの刺激を与えると、両腕・両足を広げて抱え込むような反応をします。
生後3ヶ月くらいには消えてしまいます。
◎把握反射
手に触れたものを握りしめようとします。
足の指の付け根に触れるとそれをつかもうとするような足指を曲げます。
手は4ヶ月頃まで、足は10ヶ月頃まで続きます。
◎バビンスキー反射
足の土踏まずあたりを軽く刺激すると足指を扇のように開きます。
6ヶ月くらいから次第になくなります。
◎起立反射
体を支えて、足の裏を平らな台につけると歩くような動作をします。
3ヶ月くらいで消えます。
このように新生児はいろいろな反射行動を持って生まれてくるのです。
しかし、成長するにつれて消えていってしまうのが特徴です。
人間が複雑な行動ができるのは反射行動が消えていくからともいえるかもしれませんね。